わらう太陽
「わらう太陽」
休日の大半は布団の上で過ごす。
寝食や仕事すらも、布団の上という有様である。
常に片目に倦怠感た痛みを覚えているのは十六歳の頃からで、ともすれば、その頃よりわたしは布団の上でほとんどの時間を過ごすようになったわけだ。
(両目を閉じて、しばし瞑想)
いけない、このままでは眠り落ちてしまう。
本日もわたしは二度、三度と、同じような状況において眠りに落ちてしまった。
布団の横に五つ、並べられた正方形の本棚たちの一角で、先日購入したインド香が煙を湧かしている。
その香りが私の鼻に触れるたびに、どこか懐かしい感触をもって、寝かしつけられそうになるのだ。
懐かしさは既に思い出すことはできず、五つの本棚の内、三つ目、中央に置かれた花瓶に生けられたフリージアが萎んでいる。
萎む前は、どんな形であったかすら思い出せない。
ただ、その花の匂いばかりを思い出す。
こんな作文をしてしまうのは、きっと今が夜だからであり、そしてこれを夜のせいにしてしまうような思考が生まれるのもまた、きっと今が夜だからなのだ。
おもしろくない。
ロマンはいつだって退屈だ。
わたしはいつだって、そう、自分がロマンの真っ只中にある瞬間でさえ。